AIによる社会課題
前回の宿題で見つけたAI関連の社会的課題について、いくつか共有してもらいましょう。どのような課題が多く見つかりましたか?
1. AIは社会を大きく変える存在
ハラリ教授の視点から
歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリ教授は著書「NEXUS」の中で、AIは単なる「便利な道具」ではなく、人類社会を根本的に変える存在だと指摘しています。
これまでの技術革新との違い
従来の技術:人間が使いこなす道具(自動車、インターネットなど)
AI技術:人間の判断や意思決定に直接影響を与える存在
AIが変える3つの領域
1. 情報の流れ
- 情報の選別と提示をAIが担う
- 人間が接する情報がAIによって決められる
2. 意思決定プロセス
- 個人の選択(購買、進路、人間関係)にAIが関与
- 社会全体の意思決定(政策、経済活動)もAI依存が進む
3. 物理的世界への直接的な影響
- 金融取引での自動売買による経済への影響
- 自動運転車や医療機器による生命への影響
- 軍事用ドローンによる攻撃の自動化
深刻な事例:ロヒンギャ問題
ミャンマーでは、Facebookの推薦アルゴリズムがロヒンギャ族への憎悪を煽る投稿を拡散し、実際の暴力や虐殺につながったとされています。AIの情報選別が、現実世界での深刻な人権侵害を助長した例として重要な教訓となっています。
その他の深刻な事例
1. Amazonの履歴書評価AI(2018年)
Amazonが開発した履歴書を自動評価するAIシステムが、女性応募者を不当に低く評価することが判明し、開発中止となりました。原因は、過去に男性が多く採用されていたデータから学習したためです。
2. 顔認識AIの人種差別問題
Google Photoが黒人をゴリラと誤認識したり、既存の顔認識サービスで黒人女性の認識精度が極端に低くなる問題が発覚しました。訓練データに白人男性の画像が過剰に多く含まれていたことが原因とされています。
3. マイクロソフトのチャットボット「Tay」(2016年)
Twitterでユーザーとの会話から学習するAIチャットボットが、ヒトラーを礼賛したりヘイトスピーチを発するようになり、24時間以内に緊急停止されました。悪意のあるユーザーからの偏見に満ちた発言を学習してしまったためです。
2. 社会全体への影響と課題
情報格差の問題
- AIリテラシーの有無による格差拡大
- 最新技術にアクセスできる人とできない人の差
- デジタルデバイド(情報格差)の深刻化
フェイクニュースと情報操作
- AIによる偽情報生成の高度化
- 真偽の判断がますます困難に
- 民主主義への脅威
プライバシーと監視社会
- 個人データの大量収集と分析
- AIによる行動予測と制御
- 自由と安全のバランス
AI倫理とバイアス
- AI判断における偏見や差別
- アルゴリズムの透明性の問題
- 責任の所在(AIの判断ミスは誰の責任?)
3. グループディスカッション
4-5人のグループに分かれて、以下のテーマについて議論しましょう:
- 10年後、AIはどのように社会を変えているか?
- AI時代に人間が身につけるべき能力は何か?
- AIと共存する社会のルールは何が必要か?
各グループで話し合った内容を、最後に全体で共有します。

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