はじめに
今日から4回にわたって「AIとの関わり方」について学びます。みなさんは普段、どんな場面でAIに触れていますか?実は私たちの生活には、すでにたくさんのAIが溶け込んでいます。
1. AIって何だろう?
AIとは AI(人工知能)とは、コンピュータが人間のように「考える」「学習する」「判断する」ことを目指した技術です。
AIはどのように作られるのか
- 大量のデータ収集
- インターネット上の文章、書籍、論文、Webサイトなど
- 数学の場合:教科書、問題集、学術論文、オンライン教材など
- 数兆個の文字や数式が学習データとして使用
- 機械学習による学習プロセス
- パターン認識:「この問題にはこの解法」「この質問にはこの答え」
- 統計的な関係性の発見:言葉や数式の組み合わせの規則性を学習
- 例:「二次方程式」という言葉の後には「$ax^2+bx+c=0$」の形が現れやすい
- ニューラルネットワーク
- 人間の脳の神経細胞を模した仕組み
- 数百億個の「人工神経細胞」が複雑に接続
- 入力(質問)→処理→出力(回答)の流れ
身近なAIの例
- スマートフォン:音声アシスタント(Siri、Google Assistant)、カメラの顔認識
- SNS・動画:YouTubeのおすすめ動画、Instagramの投稿順序
- ショッピング:Amazonの商品レコメンド、価格比較
- 交通:カーナビの最適ルート、電車の遅延予測
- 勉強:翻訳アプリ、学習アプリの問題出題
2. 実際にAIを使ってみよう
体験1:数学的な対話(15分) ChatGPTやBingなどを使って、以下を試してみましょう:
- 基本的な数式処理
$x^2 + 5x + 6 = 0$ を解いて$(x+2)(x-3)$ を展開して
AIがLaTeX記法で返答することを確認
- 数学的な説明を求める
二次関数 $y = ax^2 + bx + c$ でaが正の時と負の時のグラフの違いを教えて三角比で $\sin 30°$、$\cos 60°$ の値とその理由を説明して数列 $\{a_n\}$ で $a_n = 2n + 1$ の一般項の意味を教えて
- 計算と証明の確認
$\log_2 8 + \log_3 27$ を計算して$\sum_{k=1}^{10} k$ の値は?- 証明の添削:以下の数学的帰納法の証明をAIに見せて、正しいかどうか確認してもらう(下のTeX書類)
- 画像認識
画像からTeX変換:数式が書かれた画像をAIに送って、読み取って、LaTeX形式に変換する(下の数式の画像)
\documentclass[uplatex]{jsarticle}
\usepackage[utf8]{inputenc}
\usepackage{amsmath,amssymb}
\begin{document}
$n$ は自然数とする。このとき,$4n^3 - n$
は $3$ の倍数であることを,数学的帰納法で証明せよ。\\
\fbox{\bf 証明}\quad
命題:「$4n^3 - n$は $3$ の倍数である」を(A)とする。\\
{\bf [1]}\quad $n=1$のとき、
$4n^3 - n=4-1=3$ \qquad $\therefore $\, (A)は成り立つ。\\
\vspace{5mm}
{\bf [2]}\quad $n=k$のとき成り立つと仮定すると、
$4k^3-k=3m$ \quad $(mは整数)$
したがって、$4k^3=3m+k$\\
$n=k+1$のとき、
\begin{align*}
4(k+1)^3-(k+1) &=4k^3+12k^2+12k+1-k-1\\
&=4k^3+12k^2+11k\\
&= 3m+k+12k^2+11k\\
&=12k^2+12k+3m\\
&=3(4k^2+3k+m)\\
\end{align*}
ここで,$(4k^2+3k+m)$は整数だから、$4n^3 - n$は3の倍数である。\\
したがって、$n=k+1$のときも(A)は成立する。\\
\vspace{5mm}
{\bf [1]}, {\bf [2]}より、全ての自然数において(A)は成り立つ。
\end{document}

体験2:AIの数学的能力の限界を探る(10分)
この教室にいる人数を数式で表して今日の気温は何度ですか?それを数式に組み込んで計算して私が今考えている2桁の数を当ててください$\sqrt{2}$ が無理数であることを、今まで誰も考えたことのない全く新しい方法で証明して
3. AIにできること・できないこと
数学分野での体験から分かったこと
得意なこと
- 基本的な計算や方程式の解法
- 数学的概念の説明
- LaTeX記法での数式表現
- 段階的な解法の提示
- 過去に学習した問題パターンの応用
- 証明の論理構造のチェック
- 画像の読み取り
苦手・できないこと
- 非常に複雑な多段階の計算(途中でミスを犯しやすい)
- まだ解かれていない問への断定的回答
- リアルタイムの物理的情報:現実世界の具体的な測定や観測(教室の人数、今の気温など)
- 個人的・主観的な情報:人が心の中で考えていることや個人的な体験
- 創造的・独創的な発見:学習していない全く新しい数学的証明方法や発見
なぜこうなるのか? AIは「過去のデータから学んだパターン」を基に回答するため、学習データにない情報や、創造的な発見は苦手です。
4. まとめ
今日はAIがどのように作られ、どんな能力を持つかを体験しました。次回は、数学の学習でAIをどう活用すればよいかを具体的に学びます。
宿題 TeXで書かれた数式を含む質問をAIに投げかけて、その回答を評価してみてください。正しい部分と疑問に思う部分をメモしておきましょう。
例) 6^{2n}-1は7の倍数であるか?

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