現代社会では、スマートフォンやパソコンを使って、SNS、オンラインショッピング、動画視聴、ゲームなど、様々なサービスを利用しています。しかし、便利なインターネットには多くの危険も潜んでいます。
身近な脅威の例:
- フィッシング詐欺でクレジットカード情報を盗まれる
- ウイルス感染で個人情報が流出する
- SNSでの炎上やいじめ
- ワンクリック詐欺で高額請求される
情報セキュリティとは、これらの脅威から自分や大切な人を守るための知識と技術です。高校生の皆さんが安全にインターネットを利用し、将来社会人になった時にも適切に情報を守れるよう、実践的な知識を身につけていきましょう。
1. 脅威に対する安全対策
情報セキュリティとは、情報の機密性、完全性、可用性を確保することです。
- 機密性(Confidentiality):許可された人だけが情報にアクセスできる状態
- 完全性(Integrity):情報が破壊・改ざん・消去されていない状態
- 可用性(Availability):必要な時に中断することなく情報にアクセスできる状態
この3つの頭文字をとって「セキュリティのCIA」と呼ばれる基本原則です。
1-1 ユーザIDとパスワードの管理
なぜ重要? コンピュータやインターネットサービスで、あなたが正規の利用者であることを証明するため。
安全なパスワードの作り方
- 英字・数字・記号を組み合わせる(8文字以上推奨)
- 生年月日や電話番号など推測されやすいものは避ける
- サービスごとに異なるパスワードを使う
- 定期的に変更する
注意すべきこと
- ソーシャルエンジニアリング:パスワード入力を盗み見る、会話を盗み聞きするなど、人為的に機密情報を入手する手法に注意
1-2 マルウェア対策
マルウェア(悪意のあるソフトウェア)の分類
📂 感染・拡散方法による分類
| 種類 | 特徴 | 具体例 |
|---|---|---|
| ウイルス | 他のファイルに寄生して増殖 | Word文書に感染し、開くと他のファイルにも感染 |
| ワーム | 単独で活動し、ネットワーク経由で自動増殖 | メールで自動送信され、受信者のPCに感染 |
| トロイの木馬 | 便利なソフトを装って侵入、増殖しない | 「無料ゲーム」が実は情報を盗むプログラム |
🎯 目的・被害内容による分類
- スパイウェア:個人情報を勝手に収集・送信
- ランサムウェア:ファイルを暗号化して身代金を要求
- アドウェア:大量の広告を表示して邪魔をする
※ 同じマルウェアが複数の特徴を持つことがあります(例:トロイの木馬型のランサムウェア)
対策方法
🛡️ OS標準のセキュリティ機能を活用
- Windows:Windows Defenderが標準搭載
- Mac:XProtect、Gatekeeper機能が標準搭載
- スマートフォン:iOS、Androidにセキュリティ機能内蔵
追加のウイルス対策ソフトが必要な場合
- 政府機関や企業などの組織利用
- より高度な機能が必要(ペアレンタルコントロールなど)
- 古いOSを使用している場合
✅ 共通して重要な対策
- OSやアプリのセキュリティ更新を速やかに適用
- メール添付ファイルやダウンロードファイルに注意
- 怪しいWebサイトにアクセスしない
- 公式ストア以外からのアプリダウンロードを避ける
💡 現在のトレンド 多くの個人ユーザーにとって、OS標準のセキュリティ機能 + 適切な利用習慣で十分な保護が可能になっています。
感染時の対応
- ネットワークから切断
- ウイルス対策ソフトで検査・駆除
- 被害状況を報告
2. インターネット利用時の安全対策
2-1 フィルタリング
現在の実施状況
- 携帯電話:18歳未満は法律により設定が義務化(2018年〜)、ただし実際の利用率は約38%
- 学校:GIGA端末の約98%で導入済み(2024年調査)
- 企業:業種や規模により大きく異なる
フィルタリングとは? 有害なWebサイトへのアクセスを制限する技術
フィルタリングの方式
- ブラックリスト方式:危険なサイトを指定してブロック
- ホワイトリスト方式:安全なサイトのみ許可
- カテゴリフィルタリング:サイトをカテゴリ別に分類して制御
実際には、これらの方式を組み合わせて使用することが一般的です。
現実的な課題
- 保護者の約3割が「不便」を理由に解除
- 必要なサイトもブロックされることがある
- 設定のカスタマイズ方法を知らない利用者が多い
高校生として知っておくべきこと
- 自分のスマホにフィルタリングが設定されているか確認
- 家庭でのルール作りの重要性
- 将来、自分が保護者になったときの判断基準
2-2 SSL/TLS(HTTPS)
HTTPとHTTPSの違い
- HTTP:通信内容が暗号化されていない(盗聴される可能性)
- HTTPS:通信内容が暗号化されている(安全)
確認方法
- URLが「https://」で始まる
- ブラウザに🔒マークが表示される
なぜ重要? 個人情報やクレジットカード情報を入力する際は、必ずHTTPS対応サイトかチェック!
3. サイバー犯罪から身を守る
よくあるサイバー犯罪
| 犯罪の種類 | 手口 | 対策 |
|---|---|---|
| フィッシング詐欺 | 偽サイトでID・パスワード・カード情報を盗む | URLを確認、公式サイトから直接アクセス |
| ワンクリック詐欺 | クリックしただけで高額請求 | 契約していなければ支払い義務なし |
| なりすまし | 他人のアカウントを不正使用 | パスワードの適切な管理 |
被害者にも加害者にもならないために
- 最新の犯罪手口を知る
- 怪しいメールやサイトには近づかない
- 個人情報の取り扱いに注意
- 困ったときは大人や専門機関に相談
4. 組織的なセキュリティ対策
情報セキュリティポリシー
政府機関、企業や学校が情報を守るために定める方針と規則。基本方針→対策基準→実施手順の3層構造。
アクセス制御
「誰が」「どの情報に」「どんな権限で」アクセスできるかを管理すること。
その他の重要な対策
- 定期的な更新:OSやソフトウェアのセキュリティ更新を迅速に適用
- バックアップ:データ消失に備えた定期的なデータ保存
- 履歴管理(ログ管理):「誰が」「いつ」「何をしたか」の記録保持
- 従業員教育:セキュリティ意識の向上と最新脅威の共有
- 事故対応計画:問題発生時の迅速な対応手順
5. 暗号化技術
なぜ暗号化が必要?
情報を送信する際、第三者に内容を知られないようにするため。
基本的な仕組み
- 平文:暗号化前の文章
- 暗号文:暗号化された文章
- 鍵:暗号化・復号に使う規則
現在のインターネットでは、複雑な暗号化技術により私たちの情報が守られています。
まとめ:情報セキュリティの基本姿勢
- 自分の情報は自分で守る
- 怪しいものには近づかない
- 最新の脅威情報を知る
- 困ったときは相談する
- 技術の進歩に合わせて対策をアップデート
情報セキュリティは「完璧」はありません。常に新しい脅威が生まれるため、継続的な注意と学習が重要です。
練習問題
基本問題
問1 情報セキュリティの3要素(CIA)について、それぞれの意味を説明しなさい。
問2 次のパスワードのうち、最も安全なものを選び、理由を説明しなさい。 ① password123 ② MyBirthday0315 ③ Kw9#mX2$pL8 ④ tanaka2025
問3 次のURLのうち、個人情報を入力しても安全なのはどれか。理由とともに答えなさい。 ① http://www.example-shop.com/login ② https://secure-bank.co.jp/login ③ http://sns-login.net/password
問4 マルウェアの種類を3つ挙げ、それぞれの特徴を簡潔に説明しなさい。
解答
問1
- 機密性(Confidentiality):許可された人だけが情報にアクセスできる状態
- 完全性(Integrity):情報が破壊・改ざん・消去されていない状態
- 可用性(Availability):必要な時に中断することなく情報にアクセスできる状態
問2 ③ Kw9#mX2$pL8 理由:英字・数字・記号を組み合わせており、推測困難な文字列のため。 ①は一般的な単語、②は個人情報(誕生日)、④は名前が含まれており危険。
問3 ② https://secure-bank.co.jp/login 理由:HTTPSで暗号化されており、個人情報が保護される。①③はHTTPのため通信内容が暗号化されず危険。
応用問題
問5 あなたが通販サイトでクレジットカード情報を入力する際、安全性を確認するためにチェックすべき点を3つ挙げなさい。
問6 次のメールを受信しました。このメールの危険性と対処法を説明しなさい。
件名:【緊急】アカウント確認のお願い
差出人:security@amazon-update.net
お客様のAmazonアカウントに不正アクセスの疑いがあります。
24時間以内に下記URLからログインして確認してください。
http://amazon-security-check.com/verify
確認されない場合、アカウントを停止いたします。
解答
問5
技術的な安全確認
- URLがHTTPS(https://)で始まっていることを確認する
- ブラウザに🔒マークが表示されていることを確認する
事業者の信頼性確認
- 運営会社の情報(会社名、住所、電話番号)が明記されているかチェックする
その他の重要な確認点(追加例)
- レビューや評判の確認
- 不自然に安い価格設定でないかチェック
- 日本語の表記が不自然でないか確認
問6
危険性:フィッシング詐欺の可能性が高い。以下の点が怪しい:
- 差出人のドメインが「amazon-update.net」で公式の「amazon.co.jp」ではない
- URLが「amazon-security-check.com」で公式サイトではない
- 「24時間以内に」など緊急性を煽る表現を使用
- HTTPで始まるURLを使用(暗号化されていない)
対処法:リンクをクリックせず、公式サイトから直接ログインして確認する。疑わしい場合は企業に直接問い合わせる。
発展学習(情報系進学予定者向け)
より詳しい技術内容(公開鍵暗号、デジタル署名、ファイアウォール、VLANなど)については、専門的な学習を通じて理解を深めてください。

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