学習目標
- 通信方式の変化と技術革新の意味を理解する
- パケット交換方式の仕組みと利点を説明できる
- 身近なネットワーク構成の基本を把握する
1. 導入:私たちの生活とネットワーク
考えてみよう
あなたが今日使ったネットワーク技術をあげてみましょう。
例:
- スマートフォンでLINE
- YouTubeで動画視聴
- Wi-Fiでインターネット
- オンライン授業への参加
疑問
従来のサービスと比較してインターネットにはどのようなサービスがあり、どのような制約が取り払われたのかを考えてみよう。
グループで話し合ってみよう:
従来のサービス例:
- 電話:
- 手紙・はがき:
- DVD映画:
- 音楽CD:
- 写真:
- 新聞・雑誌:
- テレビ:
- ファックス:
- 宅配便:
話し合いのポイント:
- それぞれのサービスにはどんな「制約」があった?
- インターネットの似たようなサービスでは、その制約はどうなった?
- なぜそんな変化が可能になったと思う?
2. 通信方式の革命的変化
2.1) 従来の通信方式:回線交換方式
電話の例で考えてみよう
AさんがBさんと電話で話している時:
- 回線はAさんとBさんによって占有される
- 他の人は割り込むことができない
- 通話が終了するまで、ずっと回線を使い続ける
![回線交換方式のイメージ]
A君 ────────────────── B君
(回線を独占中)
C君 ─ × ─ D君 ← 使えない!
回線交換方式の問題点
- データの送受信をしていない時でも回線を占有
- 他の人が使えない
- ネットワーク資源の無駄
2.2) 革新的な解決策:パケット交換方式
小包配送で例えてみよう
大きな荷物を送る時、どうしますか?
従来の方法(回線交換)
- 大きなトラック1台で一度に運ぶ
- 荷物が全部準備できるまで出発できない
- 当初決められた経路・順序で運搬
- そのトラックが道路を占有(渋滞があれば荷物は届かない)
- 1台に収まらない他の荷物は待機
新しい方法(パケット交換)
- 荷物を小さな箱に分ける
- 準備できた箱から順次出発
- それぞれに宛先を書いた荷札を付ける
- 複数の配送ルートを使って運ぶ
- 道路を他の配送と共有できる
- 到着地で元の荷物に組み立て直す
パケット交換方式の仕組み
- データを分割:大きなデータを小さな「パケット」に分ける
- 宛先情報を付加:各パケットに送り先の情報を追加
- 複数経路で送信:異なるルートを通って送信
- 受信地で再構成:到着したパケットを正しい順序で組み立て
送信側 受信側
大きなデータ 元のデータ
↓ ↑
[1][2][3] → 複数のルート → [1][2][3]
パケット交換の利点
- ネットワークの利用効率が飛躍的に向上
- 複数の通信を同時に処理可能
- 準備できたデータから順次送信開始
- リアルタイム通信が可能
- 故障に強い(別のルートを使える)
3. ネットワークの範囲拡大
3.1 LAN(Local Area Network)
身近な例:学校のネットワーク
- 限られた範囲(校内)でのコンピュータ接続
- 高速なデータ通信が可能
- プリンタやファイルの共有
3.2 WAN(Wide Area Network)
- LANどうしを広い範囲で接続
- 都市間、国家間をつなぐネットワーク
- より広域での情報共有が可能
3.3 インターネット
- 世界中のLANやWANが接続された巨大ネットワーク
- 地球規模での情報共有が実現
学校のLAN < 地域のWAN < インターネット → 世界中
4. ネットワークの効率的利用:クライアントサーバシステム
役割分担で効率化
サーバ:サービスを提供するコンピュータ
- ファイルサーバ:文書や画像を保管
- プリントサーバ:印刷処理を担当
- Webサーバ:ホームページを提供
クライアント:サービスを要求するコンピュータ
- 私たちが使うパソコンやスマートフォン
- サーバにお願いして、必要な情報やサービスを受け取る
クライアント → 「ファイルください」 → ファイルサーバ
クライアント ← 「はい、どうぞ」 ← ファイルサーバ
なぜ効率的なのか?
- 専門的な仕事を得意なコンピュータに任せる
- 複数のクライアントが同じサーバを共有
- 管理やメンテナンスが集中化される
5. 現代社会への影響
パケット交換がもたらした変革
Before(回線交換時代)
- 限られた人だけが通信可能
- 高コストな通信
- データ全体の準備完了まで送信不可
- リアルタイム性に制限
After(パケット交換時代)
- 誰でも世界中と通信可能
- 低コストでの大容量通信
- ストリーミング配信が可能
- 動画通話、ファイル共有、SNSなど多様なサービス
身近な技術への応用
スマートフォン
- 4G/5Gもパケット交換方式
- 音声通話もデータ化してパケットで送信
オンライン授業
- 映像・音声をパケットに分割
- リアルタイムでの双方向通信
SNS・動画配信
- 大容量データの効率的配信
- 世界中への同時配信が可能
6. まとめ
今日学んだこと
- 通信方式の進化
- 回線交換 → パケット交換への技術革新
- パケット交換の仕組み
- データ分割 → 複数経路送信 → 再構成
- ネットワークの発展
- LAN → WAN → インターネットへの拡大
- 現代社会への影響
- 私たちの生活を支える基盤技術
次回予告
第2回では「インターネットの仕組み」について学習します。
- データはどうやって正確に相手に届くのか?
- インターネット通信のルール(プロトコル)とは?
- TCP/IPの役割分担について
確認問題
問題1
パケット交換方式の利点を3つあげなさい。
解答
- ネットワークの利用効率が飛躍的に向上
- 複数の通信を同じ回線で同時に処理できる
- 回線の無駄な占有がない
- 準備できたデータから順次送信開始
- 全データの準備完了を待つ必要がない
- リアルタイム通信やストリーミング配信が可能
- 故障に強い(耐障害性)
- 一つのルートが故障しても別のルートを使える
- ネットワーク全体が止まりにくい
その他の利点(追加で答えても良い)
- 複数の通信を同時に処理可能
- 低コストでの大容量通信
- 柔軟なルート選択
問題2
パケット交換方式のデメリットは何かを考えなさい。
解答
① 通信の遅延(遅れ)が発生しやすい
② パケットの損失(ロス)が起こる可能性
③ 通信品質(QoS)が保証されにくい
④ パケットの再構成が必要
⑤ セキュリティ上の課題
問題3
学校のネットワークで、あなたがプリンタで印刷する時、どのような「サーバ」が働いていると考えられますか?
解答
プリントサーバ
役割:
- 複数のコンピュータからの印刷要求を受け付ける
- 印刷順序を管理する(印刷キュー)
- プリンタの状態を監視する
- 印刷データの処理を行う
具体的な動作:
- 生徒のパソコン(クライアント)が印刷要求を送信
- プリントサーバが要求を受け取る
- 印刷順序に従って処理
- プリンタに印刷指示を送る
利点:
- 複数の人が同時に印刷要求しても順序よく処理
- プリンタの管理が集中化される
- 印刷状況を確認できる
問題4
あなたがYouTubeで動画を見る時、パケット交換方式がどのように活用されているか説明しなさい。
解答
パケット交換の活用:
- 動画データの分割
- 動画ファイルが小さなパケットに分割される
- 各パケットに宛先(あなたのスマホ)の情報が付加される
- 並列配信
- 複数のパケットが異なるルートを通って送信される
- 一つのルートが混雑していても他のルートを使える
- ストリーミング再生
- 動画全体のダウンロード完了を待たない
- 到着したパケットから順次再生開始
- 「バッファリング」で先読みしながら再生
- リアルタイム性
- ライブ配信では撮影と同時にパケット化
- ほぼリアルタイムで視聴者に届く
回線交換だったら:
- 動画全体のダウンロード完了まで再生不可
- 一人が見ている間、他の人は待機
- ライブ配信は実質不可能
パケット交換だから実現:
- 再生しながらダウンロード(ストリーミング)
- 複数の人が同時に異なる動画を視聴
- ライブ配信のリアルタイム性
キーワード
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- サーバ
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