導入:私たちの生活と情報技術
考えてみよう 皆さんが普段利用している次のサービスで、どんな「便利さ」を感じていますか?
- コンビニでの買い物
- 電車やバスでの移動
- 音楽や動画の視聴
- オンラインショッピング
実は、これらの便利さは「情報システム」によって支えられています。
1 社会の中の情報システム
情報システムとは 大量の情報を高速に処理するために、ネットワークに接続された個々の情報機器が連携しながら、全体としてまとまりをもって動く仕組みのことです。
(1) 身近な情報システム:コンビニのPOSシステム
コンビニエンスストア(コンビニ)は、24時間いつ訪れても品切れが少なく、私たちが欲しい商品がバランスよく品揃えされています。これはPOSシステム(Point of Sale System:販売時点情報管理システム)が活用されているからです。
体験してみよう:コンビニでの買い物を振り返る
グループで話し合い、コンビニで買い物をする時の流れを思い出してみましょう。
- 商品を選ぶ
- レジに商品を持参
- 店員がバーコードをスキャン
- 電子マネーやクレジットカードで支払い
- レシートを受け取る
この一連の流れで、どんな情報がやり取りされているでしょうか?
例題 1:コンビニでの情報の収集と活用
下図のPOSシステムにおいて、(ア)〜(オ)で行われる内容や、情報・商品の流れを考えてみましょう。

解答例
- (ア) 店舗での情報収集:バーコードリーダーで商品の種類や価格を読み取り、会員カードから顧客の年齢・性別などの属性情報を収集。電子マネーやクレジットカードで決済を行う。
- (イ) 本部への情報送信:店舗で収集された売上情報(いつ・何が・どのくらい売れたか)や顧客情報(どんな人が・何を買ったか)を、本部のコンピュータにリアルタイムで送信。
- (ウ) 在庫管理と発注:売上データを基に在庫状況を把握し、配送センターや問屋に必要な商品の発注を自動的または手動で行う。
- (エ) 商品配送:発注に基づいて、問屋や配送センターから店舗に商品を効率的に配送。
- (オ) データ分析と戦略立案:蓄積された購買データを分析し、売れ筋商品の把握、新商品開発、販売戦略の策定、店舗レイアウトの最適化などに活用。
POSシステムのメリット
- 顧客:欲しい商品がいつでも手に入る、レジでの待ち時間短縮
- 店舗:効率的な在庫管理、売上向上、人件費削減
- 社会:食品ロス削減、流通の効率化
その他の身近な情報システム
- 予約システム:映画館、レストラン、病院など
- 気象観測システム:天気予報、災害警報
- 銀行ATM:24時間現金引き出し、振込
- GPS(全地球測位システム):カーナビ、スマホの地図アプリ
- ETC:高速道路の自動料金収受
- 図書館システム:蔵書検索、貸出管理
2 電子決済の普及
(1) 電子マネーとは
貨幣価値を電子的なデータで表現し、データ通信によって決済するシステムです。現金を使わずに店頭での買い物やインターネット上での決済が可能になります。
(2) 電子決済の種類
| 種類 | 具体例 | 特徴 | メリット | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| ICカード型 | Suica、PASMO、WAON、nanaco | ICチップに価値データを記録 | 高速決済、交通機関との連携 | チャージが必要、紛失リスク |
| スマホ決済(QRコード) | PayPay、楽天ペイ、d払い | QRコードで決済 | キャンペーン豊富、ポイント還元 | 通信環境が必要、セキュリティ |
| スマホ決済(NFC) | Apple Pay、Google Pay | 近距離無線通信 | 高速・安全、多機能 | 対応端末が限定的 |
| クレジットカード | Visa、Mastercard等 | 磁気ストライプ・ICチップ | 世界共通、与信機能 | 年会費、使いすぎリスク |
(3) キャッシュレス社会の進展
調べてみよう 日本のキャッシュレス決済比率は年々上昇していますが、諸外国と比べるとまだ低い水準です。
- 韓国:約95%
- 中国:約80%
- 日本:約35%(2022年)
ディスカッション:キャッシュレス化のメリット・デメリット
| メリット | デメリット・課題 |
| 決済の高速化・効率化 現金管理コストの削減 購買データの活用 感染症対策(非接触) 家計管理の見える化 | 高齢者のデジタルデバイド システム障害時のリスク プライバシー・セキュリティの懸念 使いすぎのリスク 小規模店舗の導入負担 |
3 クラウドコンピューティング
(1) クラウドとは
個人や組織が所有する特定のコンピュータではなく、インターネットを経由して、外部のサーバーやソフトウェア、ストレージなどの資源を利用できるサービス形態です。
(2) 身近なクラウドサービス
- Google Drive、OneDrive:ファイル保存・共有
- Gmail、Outlook:メールサービス
- YouTube、Netflix:動画配信
- Spotify、Apple Music:音楽配信
- Google Docs、Office 365:文書作成・編集
(3) クラウドの特徴
| メリット | 注意点 |
| どこからでもアクセス可能 他者とのファイル共有が容易 ソフトウェアのインストール・更新が不要 データのバックアップが自動 初期コストが低い | インターネット接続が必須 データ保存場所が海外の場合がある サービス終了のリスク セキュリティ・プライバシーの課題 |
4. 情報社会の課題と未来
(1) プライバシーとセキュリティ
考えてみよう コンビニのPOSシステムで収集される個人情報は、私たちにとってメリットがある一方で、どんなリスクがあるでしょうか?
- 個人情報の適切な管理
- データの匿名化
- 同意に基づく情報収集
- サイバーセキュリティ対策
(2) デジタルデバイド(情報格差)
情報技術を利用できる人とできない人の間に生じる格差のことです。
- 年齢による格差
- 経済状況による格差
- 地域による格差
- 身体的制約による格差
(3) 未来の情報社会:Society 5.0
AI、IoT、ビッグデータなどの技術を活用した超スマート社会の実現に向けて、さまざまな取り組みが進められています。
探究活動:未来の情報システムを考える 10年後、皆さんが大学生や社会人になった時、どんな情報システムがあったら便利でしょうか?グループで話し合い、発表してみましょう。
まとめ
- 情報システムは私たちの生活を支える重要な社会基盤
- 電子決済の普及により、より便利で効率的な社会が実現
- クラウドコンピューティングにより、場所を選ばない学習・働き方が可能
- 便利さの一方で、プライバシーやセキュリティへの配慮が重要
- デジタルデバイドの解消が社会の課題

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